リリカルなのは。といいつつはやてがメイン。
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2009.07.06.Mon 要は自己満足

 

誰だ、ビールが嫌いだと宣言したいかがわしい奴はー。


私です。


どうもこんばんわtebitiです。
来週も例の同僚と激しく飲むつもりです。
夏ですもーん。


下のはSSとも言えないのでカテゴリーなしです。
しかも水面下で変な長編書いてて、その中のもの。
中途半端なところから始まります。
だって、早く完結した順なんだもの。
というわけで、記憶喪失ネタです。
それだけ。



 







彼女に「半径1.5メートル以内侵入禁止」令を告げたのは3日前。

その理由を彼女は知らない。

もちろん私も教えるつもりはないものだから「どうして?」と聞かれたら「極秘」と言って簡単にあしらった。

彼女の質問が純粋過ぎて苦しい。

上手く振る舞えない自分が憎たらしい

彼女はなんて残酷なのだろう。

私が知る過去の事実。

 

繰り広げられるのは正にその攻防。

 

 

<消失少女>

 

 

隊長室には唸る彼女がいる。

私はそれを無視し続けていた。その距離はちょうど1.5メートル。

彼女の足元にはちょうど赤いテープが引かれている。

私が今朝丁寧にテープを張ったのだ。

彼女は部屋に入るとそれを怪訝に見つめ、少し考えていたが何事もないようにそのラインを越えようとした。

1.5メートル…。」

「そのためのテープなのっ?」

納得がいかないと私に抗議した。

そんなことは私も百も承知で、だからこそ淡々とあしらった。

「隊長命令やねん。」

「はやての気まぐれでしょ。」

文句を言うが、それでも行儀の良い彼女は右往左往と動き回りながらその命令を守っていた。

「はやては冷たいなぁ」

彼女はその場にしゃがみこみ赤いラインを見つめる。

「はやてのばかぁ」

その丸くなった肩の線が寂しそうで、堪らず声をかけたくなる。

ぐっと指先に力を込めた。

「ばかやもーん。」

私は最大限に作り笑いをし、彼女は不貞腐れていた。

――― 正直体力が減るわ。

げんなりとため息をついた。

1.5メートルだなんて十分譲歩した結果なのに。

気を抜けば一歩踏みだし飛び込んでいきそうな危うい距離なのに。

自分を保つためにはそれほどまでに必要なのに。

――ー フェイトちゃん察してやぁ。
泣きたいのはこっちだと、文句を言いかけ奥歯で噛みしめた。

「フェイトちゃん。何かあってきたんやろう?」

モニターを閉じ改めて彼女に問う。

必要がなければ彼女がもうここへ来る理由なんてない。

「あぁ、この前渡した模擬戦の記録をもらいにきたの。」

予想通りの言葉に私の気持ちはひどく落ち込んだ。

「それなぁ、もうちょい待っててくれるか。申し訳ないんやけどこちらも立て込んでて実はまだ見終わってないんよ。」

ごめんと軽く伝えると彼女もテンポ良くしょうがないと肩をあげ了承してくれた。

いつも通りの会話に少し安堵する。

いちいち考える思考が煩わしくてどうにかなりそうだ。

「とりあえず終わったらなのはちゃんにでも渡しとくし、フェイトちゃんもお仕事がんばってな」

私は早く終わらせたくて、早々に区切りをつけた。
けれど彼女がそれを許すはずがなかった。


「ねぇ、はやて。」

「うん?」

「私たち友達なんだよね…?」

「…せやな。」

その言葉に私は過剰に反応する。
うまく答えられていたか不安になる。

盗み見ると彼女は私の言葉に何も興味がないようだった。

「友達にこのテープはいらないんじゃない?」

言葉は優しいが、表情は厳しい。

ぐっと拳を握り締める仕草で彼女を怒らせたことが伝わった。

「あ、いや…。ほんま、今日だけは勘弁して。」

とにかく私もたまったものではない。
怒らせてしまったことは全力で謝るしかないのだが、

まだこの距離を縮めさせる程の覚悟もないのだ。

「納得できないよ。」

抗議し続ける彼女に私はどう答えるか考え込む。

「このテープ、越えたらどうなるの?」

さらに彼女の猛攻が続けられる。
私はその言葉に対し返す用意をしていなかったためうろたえる。
「えっ…?あ、そうやなぁ、すっごいことが起こる…。」

私自身にだけれどと口に出さずに付け加えた。
事実、被害を受けるのは彼女の方だ。

もし、思わず好きだと言ってしまったら…
思わず抱きしめてしまったら…

今の私にはそれぐらいしでかしそうな予感があった。

一体あの日からどれだけ彼女と接してないと思っているのかと、

情けないけれど考えては意識しているのだから。

そして、そんなことをして彼女に避けられてしまえば私はきっと生きていけれないという自信があった。

何も知らない彼女は「凄いことかぁ」と零し考え込んでいた。

私の気持ちも知らないで。

また溜息をついた。

 

「ねぇはやて。」

「なん?」

私は言葉に引き寄せられ彼女を見る。

「あ…」

同時に体が震えはじめた。

記憶がないと言えども彼女自身。

あの意味を含めた深い瞳で見つめられると

刻み込まれた体が過剰に反応し一気に血が熱くなった。

「ふぇっフェイトちゃん…?」

心臓の音が脳にこだまして、思わず胸を押さえこむ。

一方彼女は私の声を構わず残酷に告げた。

「試してみようか。」

と。

言うなり強引に赤いテープを跨いだ。

「ちょっ…」

私は勢いよく立ち上がりその拍子に椅子は倒れ転がった。

彼女にしてみれば大きく跨いで二歩。

一歩。

私は後ずさるが転がった椅子の足に引っ掛かり尻もちをつく。

二歩。

痛いと目を閉じる。
視界が広がると数センチの距離で彼女の顔があった。

「ほら何も起こらない。」
と、優しく伝えて。

満面の笑みで私を見つめる彼女は綺麗すぎる。

意味の無い彼女の言動に頭がくらくらさせられる。

私は今でも好きだと実感させられる。

――― 何も起こらないって…
――― 何も起こらないって…

――― 大惨事やん

何も知らない彼女は残酷過ぎる。


だから私は、今にも零れてしまいそうな言葉を必死で飲みこみ

どうか伝わりませんようにと胸を抑えつける指先に
力を込めることしか出来ないでいた。










<おまけ>



 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす。」

資料を渡す約束をして友人の部屋へ訪れた。呼び鈴を鳴らしても返事はなかったので遠慮なくロックを解除し中へ入る。

この部屋を手配したのは私であるし、なのはちゃんにも「居なかったら入って机の上に置いてくれる?」と頼まれていたので私はどうどうと人様のお部屋へ侵入した。

玄関を開けた瞬間甘い匂いが広がる。

コーヒーや紅茶の匂いが染みついたこの部屋はなんだか

なのはちゃんにぴったりだと思い顔が綻んだ。

約束通りデスクの上に資料を置いた。

――― はやてちゃんへ。

     

     お仕事お疲れ様でした。

     クッキー焼いたので食べてね。

     それから、無理しちゃだめだよ。

                    

                    なのは  ――― 



メモ書きと一緒に何種類もあるお菓子が綺麗にラッピングしてある。

「ありがとうな。」

最近気を張る毎日が続いていたものだから、そんな友人の心遣いが素直に嬉しかった。

紐を解き1つ。

おいしいと感心しながら2つめ。

3つめはメモの返事をかきながら食べた。

 

 

――― なのはちゃん

 

     おいしいクッキーありがとう。

     資料置いときます。

あと、これぐらいしかなかったので眠たい時にでも。

 

                    八神はやて ―――


ブラックガムを3枚一緒に添えた。

用もすみ、想像しなかった美味しい手土産を貰い、長居もしてなれないとそそくさとリビングを横切る。
視界の隅に違和感を覚え立ち止まった。

ソファから伸びる手足。

近寄って確認するればなんてことはない。

 

「フェイトちゃん、だ。」

 

私の侵入も気づかずにすっかり熟睡していた。

私はなんとなく座り込み彼女を観察した。

「ほんまに、まぁ…。気持ち良さそうに。」

6月と言え室内は少し熱く額に髪を張りつかせ静かに眠る。

鼻を摘むと嫌そうに眉間に皺をよせた。

「まぬけやなぁ」

ふっと笑い、そのまま額の髪を撫でるように払いのけた。

もう以前ほど胸が痛むような苦しさは無くなり、

それでも過去の彼女を探してしまう自分がいる。

生理的に涙が出てくることもあるが、そんな時はぐっとこらえるか気づかれないうちに飛んで逃げた。

「けっこうな、頑張ってん。」

安らかに眠る彼女を見れば、現実も忘れてしまいそうだ。

私はもう一度懐かしむように金色の髪を撫で、頬を辿った。

軋むソファ。片手で体を支える。

「・…フェイトちゃん。ご褒美、ちょうだい。」

不謹慎だと感じながらも
私は熟睡している彼女の唇を重ね合わせた。

ただ触れるだけなのに、苦しくて胸が込み上げ
足の指先まで力が籠った。

久しぶりのキスはしょっぱい。
それが涙だと気づいても私は必死で唇を合わせる行為を続けた。

「ふっ…うっぅ…」

次第に嗚咽が込み上げる。

涙はどうしようもなく溢れ出す。

それでも私は強く瞼を閉じキスをした。

 

脳裏に映る彼女が今でも私を好きだと言ってくれたから。

 

 

 






これで当分お休みです。




| 00:01 | comments(2) | はやて。 |

2014.03.18.Tue スポンサーサイト



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Comment











おぉ、ご無沙汰のお話ですが・・・これはフェイトさんの記憶がある種抜け落ちてるという事なのかな?
続き物という事で次回も楽しみにしてますと言いたいとこですが・・・・・当分お休みですか!?んーっ、残念!!
まあ、気長にお待ちしてますんで。

あ、それとお酒の飲み過ぎには気お付けて下さいね。
因みに自分は下戸です(炭酸のジュースも殆ど飲めない)とどのつまり味覚が子供なんですよ。
From. 似非オタク 2009/07/07 21:50

お久しぶりです。
前の日記読まれたのですね(汗
そうそう、記憶がすこーんと無くなってしまうお話しでした。
でもどう考えても暗くなってしまうので今は放置してます(笑
全体的にまたーりした感じにしたかったんですけどね実わ。

お酒…がんばります!

似非ヲタクさまは下戸なんですね。ビールおいしいのにw
あ、ちなみに私は炭酸飲めないという人って年上年下構わず可愛らしく思ってしまうので危険です。
(失礼言ってしまってすみません。

では!コメントありがとうございました!!



From.  2009/07/10 02:48

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